ある日、友人から、「Illustrator(イラストレーター)を入れてみたんだけど、操作が全く分からないから、教えてほしい。」と言われました。
その友人は、グラフィック系とは縁のない仕事で、パソコンといえばマイクロソフトのエクセルかワードを必要な時に使う程度です。
ホームページのバナーを人に作ってもらう時、何度も細かな修正などのやり取りをするのが面倒で、自分でどうにかできないかと思い、イラレを入れてみたそうです。
私が、よく、「イラレはパソコン上に紙と鉛筆があるようなもので、思った通りのことが、何の拘束もなく、自由にほぼ何でもデザインできるよ。」と話していたからかもしれません。
「例えば、文字の上に文字を書くこともできるし、どこに写真や図形を配置しようが、写真をどんな形に切り抜こうが自由。」とか、
「おおよそ平面で考えつくことは何でもできる。」とも言いました。
そんな友人が、いざイラレを入れてみて、ひとこと「何をどうやればいいのか、全然分からない、、、。」でした。
その時思い出したのが、CADアプリのSketchUp(スケッチアップ)とV-Ray(ブイレイ)を使い始めた時のことでした。
SketchUpは割と本やWEBで学べたのですが、V-Rayに至っては入門編的なものがほぼ見つからず、マニュアルは言葉が難しく、ちんぷんかんぷんで、画面上はすべて英語な上に機能がものすごくいっぱいあり、習得に時間がかかりました。
途中で何度もくじけそうになりました。
それまでVectorworks(ベクターワークス)というアプリで平面やパースの図面を描いていました。
VectorworksはIllustratorの操作ができれば、割と使いやすいCADアプリだと思います。
何となく、どうやればいいのか、操作がイメージできるからです。
ところが、SketchUpは、立体のつくり方が、ベクターワークスとは全く違っていました。
そもそも「用紙を出して描く」という思い込みに縛られていて、最初はどこをどう触っていいのか、ものすごく戸惑いました。
また、V-Rayはツールや機能の設定箇所がものすごく多く、使い始めた頃は、「そんなに全部使いこなせなくてもいいから、とりあえず形にできる方法を教えてほしい!」と思いました。
今回の友人もそういうことだろうと感じました。
他にも、グラフィック系の仕事ではないけれど、イベントでチラシをつくるからイラレを入れたよ、という方なども周りにいました。
WEBには、イラレのツールを一つひとつ詳しく説明してくれているページがたくさんあります。
私も、あまり使わない機能や、こういう事できないかなと思った時は調べます。
最初からすべてを覚えようと頑張るよりも、必要な時に、ピンポイントで必要な使い方を調べたほうが楽です。
ある程度使えれば、何が必要なのか、何を調べたらいいのかが分かってきます。
その前の段階の、「何をどうやればいいのかさっぱり分からない!」と思っている方に、一番少ない操作で、とりあえず形にできる方法を、一連の流れで書くと分かりやすいのではと思い、まとめてみました。
今回は、自分の作品展を妄想して、チラシを作ってみました。
①Illustratorを開く
まずは、Illustratorのアイコンをダブルクリックして開きます。
Macだと下のドックか、アプリケーションの中にあります。
Windowsはデスクトップにショートカットか、なければ左下のメニューから開きます。
②用紙の設定をする
用紙を出します。
今回はA4サイズ(210mm×297mm)で作ります。
途中でこまめに保存しておくと、急に動かなくなった時などショックが少なくて済みます、、、。
といいつつ、熱中すると忘れてしまいますが。
③文字を打つ
チラシに入れたい文字を打ちます。
打った文字を選んで、右の文字のボックスの中で、フォントや大きさなどを変更します。
④レイヤを分ける
レイヤ分けは必ずしないといけないものではないですが、しておくと作業が楽になります。
レイヤとは用紙が重なっているイメージで、作業をしやすくするために使います。
文字のレイヤを上にしておけば、文字が画像に下に入ったりして見えなくなるのを防げます。
あくまで自分で名前をつけて、自分でそのレイヤに文字や画像を入れていかないといけません。
思うところに勝手に入ってはくれません。
レイヤを選んで作業をすると、そのレイヤに入ります。
もしくは、入れたい文字や図形を選ぶと、レイヤの名前の右に色のついた小さい■が表示されるので、その■をドラッグして上下させ、入れたいレイヤにもっていきます。
「レイヤ」のボックスがない時は、上のメニューの【ウィンドウ】⇒レイヤと選んで表示させます。
「レイヤ」とか面倒だな…と思えば、ここは飛ばして、「本当に必要になった時に調べて使う」で、問題ありません。
⑤画像を入れる
チラシに画像を入れます。
入れたい画像をあらかじめ、デスクトップにフォルダを作って入れておくと分かりやすいです。
画像をIllustratorで開いてコピペでもいいですが、ファイルが重くなるので、配置で貼っていきます。
上のメニューの【ファイル】⇒配置を選び、入れたい画像を探して配置を押します。
繰り返せば、何枚でも画像を貼りつけられます。
⑥画像を切り取る
分かりやすいように画像を切り取ると書きましたが、画像のいるところだけを切り取るということではありません。
見せたいところだけ表示されるようにマスクをかけます。
切り取りたい写真の上に図形を描きます。
丸形や星型、雲形などなんでも構いません。
ここでは、四角にしました。
左のツールから、四角のアイコンを選び、ドラッグで画像の上に置きます。
画像と図形を両方選んで、上のメニューの【オブジェクト】⇒クリッピングマスク⇒作成
を選びます。
図形に重なっていた部分だけが表示されます。
位置の調整は、白い矢印のアイコンを選び、画像の中心をクリックすると画像だけが選ばれるので、ドラッグして移動します。
同じように繰り返せば、他の画像もいろいろな形にくり抜くことができます。
⑦拡大・縮小
ツールの拡大、縮小もありますが、ここでは簡単な拡大、縮小を使います。
上のメニューの【表示】⇒バウンディングボックスを表示を選ぶと、画像や文字の周りに四角いボックスが現れるようになるので、四隅の小さな□を使って、拡大、縮小、回転などができます。
比率を変えたくない時は、shiftボタンを押しながら動かします。
⑧文字や画像を揃える
文字や画像を中心や左右で揃えます。
上のメニューの【ウィンドウ】⇒整列を選び、整列のボックスを表示させます。
揃えたい文字や画像を一緒に選び、揃えたい方向を選択します。
用紙の中央に揃えたい時は、整列ボックスの右下を押し、「アートボードに整列」を選び、中心に揃えるマークを押します。
⑨画像の重なり順を変える
上にしたい画像を選び、上のメニューの【オブジェクト】⇒重ね順⇒最前面へ を選びます。
⑩飾り枠をつける
Illustrator用の飾り罫やイラストなど、無料で使えるものもたくさんありますので、利用するとバリエーションが広がります。
Illustrator用のデータは「aiデータ 飾り罫 フリー」などで検索すると探せます。
EPS形式も使えます。
PNGのデータを先程やったように、画像の配置で置くこともできます。
今回は簡単な四角形で描きます。
四角形のアイコンを選んで用紙上でクリックをすると、ボックスが出てくるので、サイズを書き込み、OKを押します。
色を変えたり、下の画像が透けるように薄くしたり、整列で用紙の中心に揃えたり、調整します。
⑪文字に白フチをつける
バックがごちゃごちゃして文字が見にくいので、白フチをつけます。
上のメニューの【ウィンドウ】⇒アピアランス でアピアランスのボックスを表示します。
文字を選び、アピアランスのボックスの左下の四角を押します。
線:というレイヤができますので、ドラッグで塗りの下に移動します。
線:の右の部分で色や太さを変更します。
文字の色は、塗り:の右のところで変更します。
上のメニューの【ウィンドウ】⇒スウォッチライブラリ⇒グラデーション のボックスを表示させ、文字をグラデーションにすることもできます。
⑫図形に影をつける
1番大きな写真の下に、影をつけます。
影をつけたい画像を選び、上のメニューの【効果】⇒スタライズ⇒ドロップシャドウ で設定します。
影は文字や図形などにもつけることができます。
⑬仕上げ
今までやったことと同じ様にして、空いているところに、写真や文字を入れ、チラシを仕上げます。
A4チラシをポスターにする方法も記事にしていますので、そちらも必要があれば、ぜひご覧ください。
実際は、ショートカットキーを使ったり、もっと簡単に作業できる方法もありますが、なるべく分かりやすく、とりあえず形にすることを目指してまとめました。
使っていくうちに、便利な機能やツールがたくさんあることが分かってきて、いろいろなことができるようになります。
「使いこなせず、途中で挫折した」などの声もよく聞きますが、最初は、すべてを使いこなそうと思わなければ、何となくでも形にできます。
Illustratorはとても便利なアプリなので、難しく考えず、せっかくあるのであれば、ぜひ活用していただきたいです。
その最初の半歩くらいのお手伝いになればと思います。
アーリー フィンチ■絵と配色とデザインと■
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