色やトーンについて簡単にまとめてきましたので、実際に絵を描く時の配色を見ていきたいと思います。
配色は、人それぞれ、好き嫌いもありますし、正解はないと思いますが、
実際、配色がうまくいかないと、色どうしが打ち消し合って、画面がぼやけてしまったり、
逆にケンカしあって、目がチカチカしたり…
そういう経験は、絵を描く人には、だれにでもあると思います。
そうなると、いつも無難に、同じような配色をしたり、失敗が怖くて、なかなか思い切った配色ができなくなってしまいます。
逆に、いろいろ試しすぎて、配色で迷子になってしまうことなどもないでしょうか。
配色は、好きに塗ってバチッと決まれば最高なのですが、いつも頭を悩ませています。
絵の配色について簡単にまとめてみましたので、配色の迷路から抜け出すきっかけになれば幸いです。
*トーンと色の考え方については、こちらもぜひ、ご覧ください。
*配色の基本についてはこちらもご覧ください。【簡単まとめ】
花の絵
絵を描く場合には、背景やモチーフの色をあらかじめ決めて、塗り始めると思います。
モチーフはその時々で違いますし、ありとあらゆる色がありますが、
今回は、簡単な花の絵で雰囲気を見ていこうと思います。
●花は薄い黄色だけにした「色数が少ない花」、
●やさしい色の組み合わせの「あわい色みの花」
●カラフルで強い色の「あざやかな花」
の3パターンで塗ってみました。
薄い色の背景の場合
薄い色の背景で、3パターン塗ってみました。
下の色みとトーンの「似ている」「違う」とは、
●モチーフ(花瓶の花)と背景の色の雰囲気が似ているか似ていないかと、
●トーン(色の暗い、明るい、濃い、薄いなど)が似ているか、似ていないか
を示しています。
ベージュ系の背景の場合
落ち着いたベージュ系の背景です。
●「色数が少ない花」は、薄いベージュと薄い黄色の花が似ているのと、
全体的にトーンが似ているため、統一感はありますが、少しぼんやりとした感じになります。
●「あわい色みの花」は、葉っぱはベージュに映えてコントラストがついていますが、主役の花は、トーンが似ているため、目立たなくなりました。
●「あざやかな花」は色みもトーンもベージュとのコントラストがついていてモチーフが際立っています。
ブルー系の背景の場合
落ち着いた色合いのブルー系で塗ってみました。
●「色数が少ない花」は、黄色の花は色みが違うので、コントラストがついて分かりやすいです。
ただ、葉っぱの方は、色みが同じため、目立たなくなりました。
●「あわい色みの花」は、色みのコントラストはありますが、全体的にトーンが似ているため、インパクトは薄くなりました。
●「あざやかな花」は色みとトーンが違い、コントラストがついています。
ピンク系の背景の場合
ピンクが入ると、ベージュやブルー系に比べて画面が明るく華やかになります。
●「色数が少ない花」は、色みのコントラストはありますが、やはりトーンが似ているため、少しぼやけたイメージになります。
●「あわい色みの花」は、葉っぱはコントラストがついていますが、花は同じピンク系のため、目立たなくなりました。
●「あざやかな花」は花の色みは同じですが、トーンが違うので、コントラストはあります。
ピンク系でまとめる目的なら統一感も出ています。
濃い色の背景の場合
濃い色の背景でも、3パターン塗ってみました。
オレンジ系の背景の場合
明るいオレンジ系で塗ってみました。
●「色数が少ない花」は、花の色みは近いのですが、トーンが違うので、コントラストと統一感が出ています。
●「あわい色みの花」は、花の部分は少し目立ちませんが、トーンが違うので、全体的にはコントラストが出ています。
●「あざやかな花」は色みは違うのですが、トーンが似ていて、どちらも強い色なので、好みでしょうが、少し画面がチカチカします。
ブルー系の背景の場合
濃く落ち着いたブルー系です
●「色数が少ない花」は、花の色みとトーンが違うので、コントラストが出ています。
背景の方が濃く暗い色なので、全体の印象が暗く感じます。
●「あわい色みの花」は、同じく花の色みとトーンが違うので、コントラストが出ています。
ピンクが差し色で入っているので、色みも単調にならずにすんでいます。
●「あざやかな花」は花も背景も濃い色で、色みが違うので、統一感はありません。
葉っぱとブルーの色がぶつかり合っている感じがします。
レッド系の背景の場合
あざやかすぎない、落ち着いたレッド系にしました。
●「色数が少ない花」は、花の色みとトーンが違うので、コントラストが出ています。
●「あわい色みの花」は、同じく花の色みとトーンが違うので、コントラストが出ています。
●「あざやかな花」は花も背景も濃い色で、色みが同じなので、花がとても見えにくくなりました。
まとめ
感覚で、、好き嫌い、見にくいや違和感があるなど、いろいろと感じて、色を塗る時の参考にしていただけたらと思います。
配色は、目立つ目立たないだけで片付けられるものではありませんし、十人十色で、好みや思いも人それだと思います。
また、自分の感覚や気持ちなどを表現するための要素の1つでもあると思います。
楽しんで配色して、それがいい感じにはまり、作品を引き立ててくれるとうれしいですね。
正解はありませんが、私の好みは、こちらです。
●「色数が少ない花」…花や葉っぱが薄いので、背景は濃く鮮やかすぎない色で合わせました。
花瓶はグレーにしました。
好みですが、少し彩度の低いにごったグレイッシュな色が落ち着きます。
●「あわい色みの花」…全体的に暗いので、花瓶に鮮やかな色を持ってきました。
実際塗るとしたら背景はもう少し薄くすると思います。
●「あざやかな花」…あざやかな色で色数も多いと配色も難しくなります。
花瓶が白だと浮いて見えるので、落ち着いた濃い色にし、背景は、あまり色みのない色の方がまとまるかなと思います。
アーリー フィンチ■絵と配色とデザインと■
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