透明水彩画を描くときの私の葉っぱの塗り方を紹介します。
葉っぱが、自然な感じにならない、他と浮いた表現になってしまうという方は参考にしてみてください。
葉っぱ色の絵の具
私が緑の葉っぱを塗るときには、実は、緑色の絵の具は、ほとんど使いません。
私の水彩画の色みでは、緑色の絵の具を塗ると自然な葉っぱの色にならず、浮いてしまいます。
ではどうやって緑色を塗るかというと、絵の具を混色しつつ緑色を作ります。
最初から緑色を塗るのと混色した緑色を塗るのは同じだと思われるかもしれませんが、全然違います。
絵の具同士を混色すると、チューブから直接出した色より鮮やかさが減り、にごります。
この絵の具同士の混色は、「減法混色」といいます。
混色することで、彩度が下がるので、自然な感じの緑色になります。
よく使う色が、ホルベインのオーレオリン(黄色)とセルリアンブルー(青色)です。
他にも黄色と青色はたくさんありますが、今回はこの2色で説明していきたいと思います。
あらかじめこの2色の絵の具を別々にパレットに溶いておきます。
葉っぱの塗り方
葉っぱの塗り方を簡単に図解してみたいと思います。
これが正解ではないと思いますが、一つの塗り方として参考にしていただけたらと思います。
●葉っぱを鉛筆で下書きします。
線は、なるべく薄くしておくと、出来上がったときに下書きの線が気にならなくなり、絵の邪魔をしません。
濃く描いた場合は、消しゴムや、ねりゴムなどで少し薄くしておきます。
全く同じ形の葉っぱはないので、形をよく見て描くと単調にならず、1枚1枚の葉っぱの個性が出せます。
形がいびつだったり、くるんと巻いていたり、少し枯れていたり、そういう葉っぱこそ絵になるので、はしょらず、スタンプのように単純作業にせず、ていねいに形を取ると自然ないい感じになります。
●色を入れたいところに水を引きます。
白く残したい場所には水を塗りません。
当たり前ですが、水を引いた場所には絵の具が広がり、水を引いていない場所には絵の具は行きません。
なので、この水を引く作業をこまかくきっちりやればきれいに仕上がります。
ただ、ちまちまやりすぎると最初に塗った水が乾いてくるし、紙も水を吸って時間が経つほどたわんでいくので難しいところです。
あまり神経質にならず、でもていねいに塗ってていきたいところです。
雑になったらなったで面白い表現ができたりもするので、絶対ではありません。
●黄色を落とします。
この時点で水を引き忘れた場所などにもていねいに広げておくといいです。
小さな葉っぱなどは、水を引かずに最初から水で溶いた黄色を塗っていくこともあります。
色を薄くしたり濃くしたりは、絵の具を溶く水の量で調整します。
●青色を落とします。
オーレオリン(黄色)が乾かないうちに、あらかじめ溶いておいたセルリアンブルー(青色)を同じ場所に同じようにポトポトとたらします。
黄色より青のほうが強いのでたらしすぎると青くなってしまいます。
様子を見ながらたらしていきます。
葉っぱの濃い部分には青色を多めにたらし、薄い部分にはあまりのせないようにします。
●混色され緑色になります。
徐々に青が黄色の上で広がり、紙の上で自然な緑色になっていきます。
乾いていく過程で、黄色を足したり、青を足したりしながら濃淡を付けていきます。
白く残したかった場所は、ティッシュでやさしく吸い取ったりもします。
●乾くとこんな感じです。
乾くと、塗ったときよりも薄くなります。
心持ち濃い目に塗るといいと思います。
完全に乾いた状態で絵の具を足すと境界線がはっきりした表現ができますし、乾かないうちに色を足していくとなじませつつ濃くしたりもできます。
いろいろな葉っぱ
今回は、私がよく使う色で説明してみましたが、もちろんこの2色だけではなく、葉っぱにもいろいろな色みががあるように、いろいろな絵の具で緑を表現することができます。
私は、落ち着いた色が好きなので、混色で塗っていますが、鮮やかな緑色を出したい時は、混色せずにもとの緑色を使うこともありますし、緑色と混色した緑色を併用することもあります。
描いていくと、葉っぱにはいろいろな表情があり、とても面白いです。
絵の具の混ざり方や乾き方で意図しない表現ができることもあります。
表現方法はたくさんあるので、1つのやり方にこだわらず描いていければ楽しいですね。
ぶどうの葉っぱは大きくて描きごたえがあります。
わざとゆがんだものや枯れたものを描くと楽しいです。
ぶどうの色が写り込んだようにぶどうの色をたらすとまとまりも出ます。
葉脈は塗り残して浮き立たせています。
遠くにある葉っぱはあまり描き込まずぼんやり描くと遠近感が出ます。
とても一生懸命に葉っぱを描いています。
何度も上から重ね塗りをしているので、濃くしっかりとした葉っぱになっています。
いろいろな葉っぱを描いてきましたが、同じようにできあがることはなく、それが楽しくもあります。
どのやり方も正解ではなく、もっと素敵な表現ができないかと、私も日々模索しています。
ですので、少しでも葉っぱを描く際の参考になればうれしいです。
アーリー フィンチ■絵と配色とデザインと■
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