木工房さんの作業場を写真に撮らせていただき、水彩画を描きました。
ごちゃごちゃした絵は、塗る部分がたくさんあり、どこから手を付けて良いか分からず、難しそうに感じるかもしれません。
ですが、部分部分が細かく分かれていて、少しずつ塗っていく事ができるので、塗りの失敗が少ないです。
水彩画は、広い面を塗るほうが、一発勝負で、ずっと難しいと思います。
最初は少し、下書きが面倒かもしれませんが、慌てずゆっくり塗っていけます。
塗りの順番は色々あり、正解はありませんが、今回やった塗り方を書いていきたいと思います。
下書きをする
水彩紙に下書きをします。
ごちゃごちゃした絵は、いろいろなものを書き込まないといけないので、下書きが少し大変ですが、楽しいです。
ただ、床の木くずなどは多すぎると思ったので、少なくしました。
写真に忠実に描く必要はないので、自分のイメージに合うように、不要な部分は削って描きました。
下書きの段階で、余分な線があると、塗る時にどちらの線が正しいのか分からず、迷ってしまいます。
また、鉛筆と絵の具が混ざっても色がにごってしまうので、極力余計な線は消しておきます。
できれば塗り絵のような感じの下書きが理想です。
塗りの順番:1
今回は、背景を先に塗りました。
毎回、背景から塗るわけではありませんが、壁の色が薄かったので、先に背景を塗って描き込んでいこうと計画しました。
今回、一気に塗る、一番広い面になります。
広い面は、多くても、3色くらいまでが良いと思います。
色数が多いと、混ざりあった時に、濁って、似たような茶色っぽい色になってしまいます。
まずは、パレットに使用する3色の絵の具を水で溶いて、お互いが混ざり合わないように作っておきます。
たっぷりめに作っておくと、途中で溶いた絵の具が足りなくなって、慌てたりということがありません。
色をのせたい部分に筆で水をつけ、水が乾ききる前に薄い色から塗っていきます。
今回は、黄色⇒青⇒紫 の順に色を置いていきました。
筆で塗るというより色をちょんちょんと置いていく感じです。
最初につけた水が多すぎても、少なすぎても色が広がりません。
うまく広がらない場合は、最初にひく水の量を変えてみると良いかもしれません。
また、色を置いたところは、乾くと塗ったときより薄くなりますので、少し濃く見えるくらいで良いです。
影になっている濃く見える部分は、少し濃い色をたらします。
塗りの順番:2
同じ様に、部分部分の色を作り、水をひいて色をのせていきますが、背景の絵の具がまだ乾いていない時は、色が混ざってしまわないように、離れた部分から塗っていきます。
逆に、背景の色とにじませたい時は、背景の色が乾かないうちに上の色をのせます。
この時点では、まだ立体感がなく、のっぺりとした感じです。
細かいところばかり注目すると、ムラやアラばかり気になり、失敗したかなと不安になりますが、たくさんはみ出さずに、塗り分けができていれば大丈夫です。
塗りの順番:3
さらに、色をのせていきます。
基本的には、その繰り返しです。
光の当たった白い部分は塗らず、一番明るい場所と比べつつ、影の部分を濃くしていきます。
明るい部分を暗くすると、それに合わせて、暗い部分はさらに濃くしないといけなくなります。
暗い部分に違いをつけられなくなると、メリハリが無くなってしまいますので、徐々に濃くしていきます。
メリハリを付けていく
暗い部分を探し、どちらがより暗いかを比べながら、さらにメリハリを付け、塗っていきます。
影の部分は、全く違う色を使うより、今まで使った色に、グレーや茶色などの少し濃い色を混ぜて作るほうが、全体がまとまって見えます。
全体が同じトーンになるようにします。
同じトーンとは、色の鮮やかさや強さを揃えるということです。
この絵は、全体的にくすんだ色合いです。
例えばここに、鮮やかな黄色や青、赤などが入ると、その色だけが浮いてしまい、まとまりのない雰囲気になります。
色のトーンを揃えることは、とても大切です。
仕上げ
あとはひたすら、暗い部分を更に暗くし、物が際立つようにします。
あえてそうしようと思わなくても、濃い部分をていねいに描き込んでいけば、そこにある物などは暗い部分と比較され際立ってきます。
気をつけるポイント
ここで気をつけるポイントは、際立たせようとして、輪郭をぐるりとなぞらないことです。
輪郭線のように見えても、線ではなく影です。
同じ影の中にも薄い色と濃い色があるので、細かく見分けて描いていくことが大切です。
また、もう一つの重要なポイントは、途中で何度か絵を立てかけて、遠く離れて全体を見るということです。
ちょっと一息入れた時で構いませんので、客観的に自分の絵を眺めます。
思っていたよりも、色が弱かったり、メリハリが付いていなかったり、悪目立ちしている部分があったりと、近くで見ているときには気づかなかった『未完成の部分』が見えてきます。
最後に、絵は、筆を置く「やめどき」が難しいです。
描けば描くほど良くなる気もしますし、やりすぎて台無しだと感じる時もあります。
絶対的なやめどきは未だに分かりませんが、続けていけば、ここかなという、自分の納得できるポイントを何となく感じるようになってくると思います。
アーリー フィンチ■絵と配色とデザインと■
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