よく耳にする、
「絵を描く時に気持ちを込めないと」
「魂を込めて絵を描く」
「心を込めて絵を描く」
という言葉。
私も何気なく、よく使います。
では、一体『気持ちを込めて』絵を描くとは、どういうことなのでしょうか。
うまく描けない時など、「気持ちを込めるってなんだろう?」と今さらながら、ふと考えて、心がさまよったりしてしまいます。
気持ちを込めるの意味
「気持ちを込める」「心を込める」とはどういことでしょうか。
日常生活の中では、広告などで
「心を込めたプレゼントを送りましょう。」と目にしたり、
学芸会の練習の時に先生が言いそうな
「今の演奏は、全然気持ちがこもってなかったぞ。」とか、
ドラマにありそうな
「そんな言葉、全然気持ちがこもってないじゃない。」というセリフ…
小さい頃から、何度も目にしたり、耳にしたりしてきました。
私も絵を描く時や作品をつくる時、仕事でデザインをする時など、「気持ちを込める」や「小手先ではダメ」など意識していますし、そう言ったりもします。
意味を調べてみると、
『心や気持ちを込める』とは、
【物や言葉などに感情を入れようとすること。】
【愛情や願いなどの気持ちを含ませることを表す言い方。
また、そうした気持ちのもとに物事を行うこと。】
だそうです。
分かったような、分からないような…。
では、具体的には、どうすれば心を込めたことになるのでしょうか。
心は感じるもの
当たり前ですが、心は、目で見ることができません。
当然人には見えませんし、自分でも見ることはできません。
ただ、感じるだけです。
当然、自分の心のほうが、他人のものよりは感じ取れます。
実際、楽しそうに見えている人が、本当に楽しいのかどうかは分かりません。
こちらが、相手の表情や仕草、言葉などでそう感じているだけです。
本当のところは分かりません。
自分でも、自分の気持ちが、すべて分かるわけではありませんし、
自分で自分の心に嘘をついて、思い込ませようとしたりします。
例えば、付き合いで呼ばれた飲み会で、
「私は今楽しい。」と思い込ませて、楽しいふりをする時や
毎日が面白くない生活で、
「自分は幸せだ。」と思い込もうとすることなど、挙げればきりがないと思います。
心に嘘をつく時の心理は、
「こんなにしてくれたのだから楽しいと思わなければ。」や
「他にどうしようもないのだから、今幸せなはずだ。」
という意識が働くからではないでしょうか。
ただ、心に嘘をつくことは、悪いことではないと思います。
苦しくなる時もあるかもしれませんが、「悪」ではないと思います。
心に嘘をつかないようにするには、行動を起こさないといけなくなります。
本当に楽しくするためには、さっさと席を立って飲み会から抜け出さないといけないし、
今までの生活をガラリと変えようとするのにも行動力がいります。
日常生活の中で、自分の心のままに行動するには、たくさんの勇気がいる時もあります。
それができないから、本当の気持ちと思い込ませようとする心とのギャップで、心が苦しくなり、体と同じ様に変調をきたし、具合が悪くなるのではないでしょうか。
『絵に気持ちや心を込める』とは
そういう人生の重大なことに比べたら、絵に気持ちを込めることは、それよりは少し簡単なように感じてきます。
まず、自分に嘘をつかなくていいからです。
もしかしたら、仕事で描きたくない絵を描かないといけないとなると、また話は別かもしれませんが、逆に仕事だからこそ、もっと気持ちを込めないといけないのかもしれません。
「絵に気持ちや心を込めた」状態というのを考えてみました。
実際、私の心の中は誰にも見えないので、正解かどうか誰にも分かりませんし、
そもそも正解などはないと思いますが、
私の思う「絵に気持ちや心を込める」とは、
①描くことにのめり込み、集中力が続く状態。
②ナルシストのように、自分の作品を見ると気持ちよくなる状態。
③自分の心はもちろん、だれかの心を動かしたいと願う気持ちが湧いてくる状態。
④悩んだり、時には苦しんだりしながらも、もっともっといいものを描きたいという気持ちが湧いてくる状態。
⑤なによりも、描いていて楽しい、幸せなど、心が上がる気持ちが湧いてくる状態。
5つに絞りましたが、もっと、いくらでも出てきそうです。
もしかしたら、「絵を売るという強い気持ちが湧く状態」と思う方もいるかも知れませんし、苦しまなくては良い作品が生まれないと考える人は、「苦しんで絞り出そうとする気持ち。」かもしれません。
「心を込めない。という気持ちを込める状態」と考える人もいるかもしれません。
なんだか禅問答のようになってきましたが、何であれ、その人の中でそれが「気持ちを込めた状態」だとしっくりくるのであればそうなのだと思います。
きっと、「気持ちを込める」とは、人それぞれだと思います。
あまり難しく考えずに、心のおもむくままに作品をつくることができれば、それで十分心を込めたことになるのかもしれませんね。
アーリー フィンチ■絵と配色とデザインと■
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